読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

はじをかく

ついこの間またひとつ歳をとった。
かれこれ童貞とも20と数年のお付き合いになった。今までお付き合いしてきたどの女性*1よりも、これとお付き合いしてきた期間は長い。


こんな男ではあるが、女性と手を繋いだことはあるので、物の弾みで何人か妊娠させてしまっているかもしれない。ほら、処女受胎があるなら童貞種付けがあっても良いでしょう?世間では想像妊娠なんて言葉もあるしね。


よく飲み屋で「彼女いないの?」と聞かれる。実際いないので、縦に頷くか聞いてきたやつを半殺しにするかいつも迷う。それと同時に、聞かれるたびに少し自分の人生に後悔をする。人生何事も経験がモットーのぼくとしては、女性経験が皆無というのは恥ずかしい話である。


さて、昔の話をしよう。とはいえ、成人はしていた時だから、そう昔ではないと思う。でもまあ過去なので昔の話って事で。ある日、某政党の衆議院議員候補の選挙手伝いに行ったことがある。選挙に出る候補者を、党員の選挙で選ぶというイベントだ。ちなみに宗教系の団体ではない。


仲の良い先輩に、ちょっと手伝ってくれん?と頼まれたので行った。面白そうな案件だし、これは行かない訳が無かろという訳だ。勿論、有力者に顔を売れるかもとか、そんな下心はあった。ただそれも気持ち半分で、どうせ覚えてはもらえないんだろうなあと、あまり期待していなかった。


その候補者選挙の内容自体は特に何も面白いところは無く、至って真面目に厳かに、淡々と進んでいった。奈良県の選挙区ということもあって田舎のジジババが多かった。関西弁も、テレビで明石家さんまとかが話すような典型的な感じではなく、口調が少しキツめの田舎特有のアレだ。ただ、こいつらはみんな党員資格を持っている人間たちである。要は田舎の党員だ。つまり、田舎の名士たちだ。こいつらの前で粗相でもしようもんなら、村八分にされて多分もうぼくは奈良県の半分以上*2の地域で住めなくなる。


あれ?つまり村八分にされたら残りの村九割二分はぼくのものになるってことなのか?なら粗相しても問題ないじゃん!とは勿論ならないのである。富と権力が乗務員の行先不明のミステリートレインでぼくは現世からサヨナラ運転させられてしまう。


なのでぼくは借りてきた猫のように大人しくしていた。場の空気を読むのは親の遺伝、人前ではしっかりと振る舞うのは親の教育の賜物である。おとうさん、おかあさん、ありがとう。息子は立派だよ。息子の息子は未使用だけどね。


当日のぼくの仕事は、投票前のデモンストレーション役みたいなのだったので、候補者の演説中はずっと暇であった。見知らぬおっちゃんと喋るくらいに暇であった。どんな人なのかは知らないけれど、地元の小さな会社の社長で後援会してる人とかそんな感じだろう。だって名士たちの集まりの中で党の腕章をつけているからだ。


おっちゃん「あんた、大学生け?」
ぼく「そうですそうです。いま2回ですわ。」
おっちゃん「ほー、ほな学部で何しとんや?」
ぼく「電気とかやってますわ。理科系ですねん。」

おっちゃんは口調はちょっとキツめだけれど、色々と話をしてくれ、浮きがちだったぼくに優しくしてくれた。*3僕もなぜか口調が年配風につられていた。


普通、これくらいのおっちゃんになると自分の若い時自慢をし始めるので、たいてい若者は「うるせえ年金払わねえぞ」とか「お金払うから死んでくれ」と腹の中で思うものだが、このおっちゃんは「若いうちにはなんでもやっとけや。人生短いからな!」みたいな感じの人だった。なのでいろいろと話は盛り上がる。


1人目の演説が終わり、2人目が始まるまで、少しの合間ができた。周りも1人目が終わって談笑をしたりしている。おっちゃんの周りにも知り合いであろう人が何人か集まってきた。その時、おっちゃんはぼくにふとこう尋ねた。


おっちゃん「おまえ、彼女おらんのけ?」
ぼく「いないですね……」





何もこんな人前で聞かなくても……





おっちゃん「あー、そうなんか。ほんならやー、つまり童貞け?」
ぼく「そうですね……」




だから何で今ここでそれを




田舎の名士たちが集まる中で、突如公開されるぼくの貞操情報。奈良県の田舎の名士たちは思っただろう。「あ、こいつ童貞なんだ」と。




県内に広がるぼくの貞操情報。




ただただ、つらい。
まあ、そんな、人前で恥をかいたというお話でした。ほんと恥ずかしかったわ。

ただ1つ残念だったのは、「うちの娘とくっついてくれ」と言う名士がいなかったことですかね。任せてくれたら家の財産、倍に出来ただろうになあ。馬券で。

なんちゃって。


あ、種付けなら任せてください。

*1:エラー:人物が見当たりません。

*2:人の住めるところ的な意味で

*3:一応他にも先輩の紹介で来たであろう知り合いは何名かいたんだけど